今の行動や選択は、「目標を大切にする」というメッセージを体現しているでしょうか。
大切な何かのために、自分の持つリソースを配分すること、選び、他の一部を捨てること、それによって生まれる軋轢の責任を持つことは、「私にとってそれが大切だ」と自分に言い聞かせるよりも、強い影響をもたらします。
念じるだけでは足りない
言葉だけのコミットメントで実行に結びつけるのは困難です。アファメーションは効果的ですが、あくまで視界を変えるためのテクニックです。
自分に「これが大切なのだ」と単に言い聞かせるだけで、選び、他を捨てることや、軋轢の責任を持つという覚悟が見えない場合、自分にメッセージが届きません。
選ぶことによって生まれる犠牲を引き受ける姿勢が、自分の利害関係に、本格的に目標を引き入れます。
口先だけのリーダーの下で働きたい人はいないでしょう。例えば「一流のプロフェッショナルとして行動してほしい」と言いながら、全くプロとしてチームの意見を聞かないような人です。逆を言えば、チームの意見をきちんと聞き、参考にした上でプロジェクトとしての判断を説明し、決定を下すリーダーであれば、上のようなセリフは不要です。
言葉や表情では好意的なサインを出しながら、全く食事や遊びに付き合ってくれない、予定もろくに教えてくれない人がいたとすれば、その人との関係を続けたいとは普通思わないでしょう。
持続可能な犠牲
犠牲は許容可能なものにしてください。背水の陣という考え方もありますが、これは最終局面を説明しているのであり、蛮勇ではありません。
破滅につながる無謀な選択は、大胆さに見せかけた、ある種の諦めです。これらは狙い澄ました賭けや、全てを絞り出すこと、逃げない覚悟とは異なります。何かを大切にするときに犠牲はつきものですが、犠牲は大切にすることを意味しません。
無闇に自分を追い詰めたり、無計画に投資することも意味がありません。論理性に欠ける消費は、浪費かもしれません。
献身的に働くのもいいでしょう。仕事や業界に深く浸かることで理解できるような、経験的な理解があります。とはいえ、何と引き換えに何を手に入れようとしているのか、ということを時には冷静に振り返る必要があります。
設備にお金をかけるのもいいでしょう。ただ、その設備がどのようにリターンを生むのかを考える必要があります。長期的、あるいは抽象的なリターンを画策するなら、それは真の意味でのエンジェル投資であり、リターンがなくても走り続けられるような計画が必要です。
犠牲がもたらすもの
目標を実行に移すとは、ふさわしい対価を払って目標に投資する、ということです。この対価とは、投資をやめるもの、つまり捨てるものを決定することです。
持続可能な範囲で、手放してきたものが大きいほど、自分にとっての目標の尊さが増していきます。(ただし、これは本能的な反応であり、執着でもあるので、囚われすぎてもよくありません。)
これは決して苦しいものではありません。どちらかといえば自身や、自分の人生への愛着に近い感情だと考えています。
ですから私としては、犠牲を払ってもいいな、犠牲を払うに値するかもな、と思えることに、試しに小さな犠牲を払ってみることをお勧めします。
何かを断り、何かをやめ、何かを捨て、それによって生まれたリソース(例えば時間やエネルギー、お金など)を、自分の大切なものに割り当てます。それによって起きるトラブルを、自分が背負って片付ける覚悟を決め、考えることから逃げずに計画を立て、対処します。
この活動には不安やネガティブな感情がつきものです。短期的に、報酬や他人の評価が伴わないこともあるでしょう。減ったり失ったりするものもあります。しかしこれは、とてもポジティブな行動ではないでしょうか。
これは勇気のひとつの側面だと考えています。勇気はネガティブなものごとに向き合う行動そのものです。ネガティブな要因を無視すること、単に鈍感なことではありません。破滅しないように投資を続ける現実的な計画、それを生み出す知恵と忍耐が、勇気を頑丈なものにします。
事実を受け入れる
大切にすることの背景には、手持ちのリソースを把握し、それが有限であるという現実があります。それを認めた上で何を選ぶのか決断したり、引き際やその後どうするのかを考える必要もあるでしょう。
自分のためでも他者のためでも、できる限り多くのことを拾い上げたい、と考えるのが、たぶん人情です。ですが現実的には、全てを選ぶことが、結果的には、全てを選ばなかった場合や、何も行動を起こさなかった場合と同じような結果をもたらすかもしれません。
だから他者に責められようと、自分の責任のもとに選び、理解を求める必要があります。これは他者の選択を理解し、寛容になるプロセスでもあります。
有限性を認めることは、1人で行うには心細いこともあるかもしれません。また、この問題に対する別の人の考えを聞くことはとても参考になり、同時に、勇気づけられます。
ですから、自分の選択について、時に誰かと話してみることを勧めます。あるいは、何かに挑戦している人を探して、インタビューしてみるのもいいでしょう。後者の方が簡単かもしれません。